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岡本裕巳(教授) 分子研リポート2002 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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102 研究系及び研究施設の現状

3-3 分子構造研究系

分子構造学第一研究部門

岡 本 裕 巳(教授)

A -1)専門領域:分子分光学

A -2)研究課題:

a) 近接場光学的手法による超高時間空間分解分光システムの構築 b) メソスコピックな構造を持つ分子集合体の構造とダイナミクスの観測

A -3)研究活動の概略と主な成果

a) 分子・分子集団におけるナノメートルスケールの空間的挙動と(超)高速ダイナミクスを探るための,近接場時間分 解分光装置の製作を行い,テスト試料の測定を行っている。近接場光学顕微鏡はファイバプローブ方式による市販 装置のパーツを改造して用い,フェムト秒T i:S apphireレーザー等ダイナミクス計測に必要な装置群を付加した。ま たこれとは別に,特に時間分解測定を念頭に置いた,高い位置再現性・安定性を備えた近接場光学顕微測定装置を製 作中である。現時点で空間分解能は 100 nm以上,時間分解能は 100 fs以上が得られている。時間分解測定は,蛍光検 出2光子吸収,または直接吸収測定による時間分解吸収相関法で行っている。

b) 上述の装置を用いて,基本性能のテストをも兼ねていくつかの試料の測定を行っている。半導体(GaA s)結晶試料に ついては,蛍光検出吸収相関測定によって 50 ps 程度の緩和が観測された。シアニン色素の J - 会合体については,幅 数十∼百nm程度,長さ数µmの繊維状の構造と,蛍光遷移モーメントがその繊維方向に偏っていることが確認され たが,レーザー波長その他の都合により時間分解測定は実現していない。現在,いくつかのタイプのポルフィリン集 積体等の試料に関して,構造およびダイナミクスの測定を試みている。

B -1) 学術論文

H. OKAMOTO and M. KINOSHITA, “Picosecond Infrared Spectrum of 4-(pyrrol-1-yl)benzonitrile: Structure of the Excited

Charge-Transfer States of Donor-Acceptor Systems,” J. Phys. Chem. A 106, 3485–3490 (2002).

H. OKAMOTO, M. KINOSHITA, S. KOHTANI, R. NAKAGAKI and K. A. ZACHARIASSE, “Picosecond Infrared

Spectra and Structure of Locally Excited and Charge Transfer Excited States of Isotope-Labeled 4-(dimethylamino)benzonitriles,” Bull. Chem. Soc. Jpn. 75, 957–963 (2002).

B -5) 受賞、表彰

岡本裕巳 , 光科学技術研究振興財団研究者表彰 (1994). 岡本裕巳 , 分子科学研究奨励森野基金 (1999).

(2)

研究系及び研究施設の現状 103 B -6) 学会および社会的活動

学協会役員、委員

日本化学会トピックス小委員会委員 (1993-1996). 日本分光学会編集委員 (1993-2001).

日本分光学会東海支部幹事 (2001- ). 学会の組織委員

The International Symposium on New Developments in Ultrafast Time-Resolved Vibrational Spectroscopy (Tokyo), Organizing Committee (1995).

The Tenth International Conference on Time-Resolved Vibrational Spectroscopy (Okazaki), Local Executive Committee (2001).

B -7) 他大学での講義、客員

お茶の水女子大学大学院理学系研究科 , 「構造化学」, 1996年 12月 . 立教大学大学院理学系研究科 , 「構造化学特論1」, 1997年 4 月 -9月 .

お茶の水女子大学大学院理学系研究科 , 「分子集合体物性論」, 1999年 6月 -7 月 . 立教大学大学院理学系研究科 , 「構造化学特論1」, 1999年 4 月 -9月 .

東京大学教養学部 , 「物性化学」, 2000年 4 月 -9月 .

立教大学大学院理学系研究科 , 「構造化学特論1」, 2001年 4 月 -9月 .

C ) 研究活動の課題と展望

昨年度から,主として近接場光学の手法を用いて時間と空間の双方を分解した分子分光法を開発し,メソスコピックな動的 挙動を研究するプロジェクトを開始した。現在のところ,まだ近接場分光の技術的基礎の習得に終始しており,ようやく基本 装置ができつつある段階である。次年度からは,この装置を用いて,ナノメートルオーダーの構造の制御された分子集合体 におけるエネルギー・物質移動を直接的にとらえる試み等を行いたい。レーザー波長など,装置の都合で対象が制限されて しまう面があるため,その制限を緩和するための装置開発,感度を高めるための改善等の努力も続けていく。またこの他に, ファーフィールドの新たな利用法も視野に入れて行きたい。液相の分子科学に顕微の考えを持ち込むことも計画している。

参照

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